花粉症調査研究施設
花粉症調査研究施設
オハイオチェインバーとは
花粉症患者の治療を向上させるために
現在、日本人の約20%が罹患し、その患者数が年々増加傾向にある花粉症。
発症年齢の低下や、花粉シーズン中の作業効率の低下による経済損失の大きさが問題となっています。
そこで、花粉症治療薬は勿論、患者さんのQOLを向上させる花粉対策用品、衛生材料などが注目されています。
しかし、花粉症領域での医薬品の臨床試験や花粉対策用品の機能評価試験は時期や天候が限られ、一定の条件下で再現性のある試験を行うことは困難でした。
そこで、東京臨床薬理研究所は、東京都内に最新式の花粉症調査研究施設「OHIOチェインバー」を左門町クリニック内に開設しました。
「オハイオ チェインバー」は、スギやヒノキの花粉を室内に均一に拡散でき花粉濃度の均一性をモニタリングしながら、花粉症に関する医薬品や食品の有効性と安全性を確認する為の試験や、花粉症マスクや空気清浄機・掃除機などの機能評価試験などを、天候や季節に関係なくいつでも客観的に実施できる施設で、その設備は世界最高レベルの性能を有しています。
Chamberは2005年当時はオーストリア(ウィーン)、ドイツ(ハノーファー)、カナダ(オンタリオ)など海外で7ヶ所に設置されており、日本でも和歌山と大阪に、その後2008年には千葉に設立されています。海外では、Environmental Exposure Unit(EEU)または、Allergen Challenge Chamber(ACC)といった名称で呼ばれており、抗原の種類、供給方法やChamberの大きさなどは施設によって異なっています。
開設の目的・用途
臨床試験データの収集を効率的に行えます
オハイオ チェインバーの抗原供給システムは、まず、スギ花粉を圧縮空気により第一次希釈の後、検査室の中心にあります供給装置から天井に向けて供給します。
次に天井並びに室内4カ所に設けられた空調システムによって第二次希釈をし、自然界の拡散状況を再現するシステムです。
Chamber内の花粉濃度分布は、空間的均一性が±12%という世界最高水準の均一性を保っています。
花粉濃度をモニタリングするシステムにはスギ以外の花粉も測定できるよう直径10μm以上の粒子を検出可能なレーザー式測定器を採用しています。特にアレルギー疾患領域での医薬品の臨床試験データの収集を効率的に行えます。
又、特定保健用食品、サプリメント、健康食品、医療用具、衛生材料から微細繊維、フィルター、空気清浄機、など花粉の噴霧によりデータを収集する製品には幅広く対応する施設と言えます。
供給抗原は現在のところスギ花粉とヒノキ花粉です。
オハイオ チェインバーの開設が、スギ花粉症を始めとするアレルギー性疾患の研究発展や診断・治療向上の一助となり、増加するアレルギー疾患対策のお役立てればと考えております。
世界で最高レベルの性能「オハイオ チェインバー」
東京臨床薬理研究所では、この花粉症調査研究施設の開設にあたって日本医科大学耳鼻咽喉科准教授(現 教授)の大久保公裕先生、北里研究所病院耳鼻咽喉科部長(現 医療法人社団左門ふたば会 ふたばクリニック 院長)の橋口一弘先生、熊本大学名誉教授の(故)石川哮先生、日本医科大学名誉教授の奥田稔先生を中心にAdvisory boardを組織し助言をいただいています。
オハイオ チェインバーの特徴・機能
世界最高レベル「オハイオ チェインバー」の主な特徴
自然界の拡散条件を再現して、
花粉濃度を均一に保ちます。
レーザー式測定器で花粉濃度を
正確にモニタリングできます。
純水による自動洗浄および
自動乾燥システムを採用することで、
カビの発生などを防止して
クリーンな条件下で試験が実施できます。
エアーシャワーを2つ設置しており、
花粉をChamber外に持ち出さない。
また、外の異物をChamber内に持ち込まない
クリーンな条件下で試験が実施できます。
最大15人の被験者が同時に入室可能な
約25m2の広さがあります。
被験者はChamber内で
テレビを見たり、
リラックスした雰囲気の中で
試験が実施できます。
被験者の安全性を考慮し、
非常用ドアの設置、
花粉供給の上限アラームを設置しています。
上記の特徴を持つオハイオ チェインバーは新菱冷熱工業(株)(所在地:東京都新宿区)の筑波の中央研究所で開発され、以下の要素技術については特許を取得しております。
- 抗原暴露室システム(特許第4796584号)
- 抗原供給装置(特許第4750797号)
- 抗原暴露室及びその洗浄・乾燥方法(特許第4750798号)